コラム~第80回「鑑定評価書による時価申告」
2025.12.18
相続税申告に係る土地の価格において時価申告として鑑定評価額による申告も認められている。
その判断基準として、東京国税局資産評価官情報(令和7年3月第1号(審理関係))が内部情報として発表されている。(TAINZ情報より)
それによると、納税者が路線価によらずに、鑑定評価額、不動産業者による査定額、売買価格などによって土地を評価して申告、更正の請求をする場合については「よらない事案」として処理される。その「よらない事案」については、「特別の事情」があるかないかを判定することとする。「特別の事情」とは、評価通達を適用したとしてもその土地の適正な時価を算定することができない具体的な事情をいい、単に鑑定評価額が評価通達の価格を下回るだけでは「特別の事情」があるとはいえないとされ、いわゆる、評価通達により考慮できない事情を立証することが必要である。また、評価通達の定める評価方法によってしんしゃくすることができる事情は「特別の事情」に当たらないといわれている。
したがって、鑑定評価額等で申告があった場合、「特別の事情」があるか→鑑定評価書の内容(補正率の妥当性等)に合理性があるか→評価通達の補正率で補充できるかどうかの流れに沿って、判断されることとなっているので、鑑定評価における申告については十分な注意が必要となる。
なお、⽇税ジャーナルオンライン「路線価によらない不動産評価額東京局管内の認容件数」についてでは、令和4年事務年度では、年間処理件数は164件あり、認容された件数は148件(更正の請求7件)と約90%が認められていることから、鑑定評価による申告も捨てたものではないと思われる。
