コラム~第80回「使用貸借」
2025.12.10
相続税財産評価基本通達において土地の「使用貸借」における評価については、いろいろな問題がある。
特に、被相続人が同族法人に使用貸借により貸付している場合には、注意を要する。
鑑定評価においては、使用貸借の土地については、使用借権は賃借権とは異なり法律上の保護が薄弱で、使用借人の死亡によってその効力を失い、独立の取引の対象とされないことから、基本は、使用貸借における土地の減価はしない。しかし、親子のような土地の使用貸借であれば、場所的利益として10%~30%の減価をすることも判決では認められている。
税務評価では、被相続人が同族法人に建物の所有を目的として使用貸借により貸付している場合で無償返還届出がない場合、法人税法基本通達13-1-7により借地権が有るものとして評価することとなっていた。
これは、使用貸借契約があるのにも係わらず、無償返還届出を出せば借地権はなしとし、無償返還届出がない場合は借地権があるものとすることは、借地借家法上問題であるとして、国税庁では令和7年6月に発表した資産税課税情報第7号等において無償返還届出がない土地についても借地権がなしとする方針がされている。
この考え方は、借地借家法にも適合し、鑑定評価においても同一な考え方となる。
ただし、税務評価では、前述した使用貸借における場所的利益は認められない。
