活動報告

コラム~第79回「収益価格と貸家、貸家建付地」

2025.12.10

税務評価では、建物の貸家の評価では、借家権を控除して評価することとなっているし、貸家の土地については、貸家建付地として借地権割合×借家権割合を控除して評価することとなっている。

しかし、鑑定評価では、「貸家及びその敷地」として評価することとなるが、貸家や貸家建付地としての減価はない。

鑑定評価では、「貸家及びその敷地」の評価は、積算価格として、土地の更地価格と建物の再調達原価を加算し、その土地建物の合計から減価修正を行い積算価格を求めることとなっている。次に、建物の家賃を前提に収益価格を求め、その積算価格と収益価格を比較考量して鑑定評価額を決定することとなっている。その場合、空き家の部分については、想定家賃を考慮し、建物全部が賃貸することを前提に評価することとなるので、鑑定評価では、貸家や貸家建付地の減価はないこととなる。

そこで問題となるのが、最近の相続税の裁決、判決で不動産の収益価格が適正時価として採用される場合において貸家や貸家建付地の評価減は考慮外となっており、貸家又は貸家建付地において収益価格を認めると時価が相当割高となることである。一部の税務署OBの意見として、裁判等で収益価格を採用する場合、その収益価格に貸家や貸家建付地の減価を認めるべきだとの意見がある。理論的には問題があるが、税務評価としては、課税の公平性から必要ではないかと思われる。


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