コラム~第63回「限定価格」
2025.3.24
限定価格とは、鑑定評価における概念である。
例えば、借地権者が底地を購入する場合、底地の価格は、不動産市場で売却する場合、地代徴収権の収益価値として更地価格の10%~20%といわれている。
しかし、底地を借地権者が購入する場合には相続税路線価の借地権割合を重視して、底地割合(通常30%~40%)で売買されることが多い。その理由としては、利害関係のある当事者同士の取引であり、不動産市場外の相対取引となり自由に値決めをできること、借地権者としては、その底地割合で購入しても完全所有権として権利制限のない土地となるメリットがあること等により、取引として損はないものと考えられるからである。そこで、借地権者としては、上限値として通常の底地割合で購入することが多い。
しかし、その底地を不動産市場で売却すると半値以下となる。このことから、鑑定評価では、底地の正常価格(不特定多数の不動産市場で成立する価格)として底地は底地割合の半値以下で取引されるが、相対する当事者間の取引(限定価格)では、底地割合で購入しても損はない価格で取引されることが多いので、その市場が限定される取引の価格を正常価格とは異なる理論的な価格として限定価格と定義されている。
しかし、税務評価では、(底地割合=1-借地権価格)と定義され、裁判判例では、底地価格は限定価格をもって底地価格の時価と判断されている。いわゆる、底地の正常価格を認めていないのが現状である。税務評価では、路線価の底地割合で評価するとなっている。これは税務評価の考え方であり、鑑定評価では、正常価格で評価することとなる。また、鑑定評価においては、借地権及び底地の評価においては、個別的要因として、堅固建物所有か、非堅固建物所有かどうか、更新料の有無、再建築時期が近いかどうか等の要因を考慮することとなっているが、税務評価では、その要素を考慮しない。。
このように底地の評価においては、鑑定評価では正常価格であり、税務評価では、限定価格となることで、評価上、大きな違いがあることに留意をしたい。