コラム~第56回「法人税法の借地権」
2024.12.19
コラム第56回
テーマ:「法人税法の借地権」
法人税法における借地権については、基本的には借地借家法の借地権とされているが、法人税法基本通達「13-1-1~13-1-16」において税務上の借地権の取り扱いが特別に規定されている。
そこでは、相当の地代(権利金の支払いがなく、更地価格の6%地代を収受している場合)の土地賃貸借については、地代の額が高額となっていることから借地人に借り得部分としての経済的利益はないものと判断され、借地権は認定しないものとされている。
また、土地賃貸借において通常の地代の収受があるが、借地人と地主と共同で税務署に「無償返還の届出(契約終了時に借地人は立退料等を請求しないで無償で土地を返還する特約)」を提出している場合には、借地権はないものと認定されている。
上記のような税務上の「相当の地代」や「無償返還の届出」については、当事者間の恩恵的な賃貸借であり、当事者間では有効とされるが、第三者に対しては借地借家法上、そのような特殊な賃貸借は適用がないものとして裁決判決等で考えられている。
したがって、当事者間の恩恵的な賃貸借である「相当の地代」、「無償返還の届出」における借地権の考え方は税務上の規定であり、鑑定評価では、税法上の借地権はあくまでも参考とし、通常の借地権の評価となるものとされる。