コラム~第53回「無償返還の届出」
2024.11.5
相続税土地評価における「無償返還の届出」が提出されている土地の評価においては、借地権がないものとして取り扱いされ、自用地、いわゆる更地評価となる。したがって、税務評価においては、土地評価においては、「無償返還の届出」が最重要のチェック項目となる。
「無償返還の届出」を提出する場合、土地賃貸借契約を行い、権利金の授受がなく、通常の地代を支払っていれば、税務評価上、その土地については、20%の評価減が認められている。この場合の考え方としては、借地借家法の借地権とは異なるものの、土地上に建物があることにより土地利用に制限があり、立退き等の問題があり、税務評価上借地権に準ずるものとして、20%減価することが規定されている。この20%の根拠としては、税務評価上借地権割合が20%以下の地域では、その借地権について課税しないとの規定があり、その規定に準じているものと思われる。
しかし、鑑定評価では、この概念はなく、土地賃貸借契約があり地代を収受しているのであれば、借地借家法の適用があり、通常の借地権があるものとして評価することとなる。実務上、鑑定評価と税務評価の違いについて注意したいものである。
なお、「無償返還の届出」のある土地賃貸借は、関係当事者間で恩恵的に成立しているものであり、第三者間の売買については、拘束力はないものと考えられている。