コラム~第49回「遺留分の不動産の評価」
2024.9.6
相続の遺産分割において、相続人の最低相続分の確保として遺留分が設けられている。
遺留分については、第一順位(子供)、第2順位(父母)にあり、兄弟姉妹の第3順位には認められていない。その遺留分が侵害されると遺留分侵害請求として相続人が他の相続人に金銭により侵害額を請求することができる。
その遺留分の請求においては、相続人に対しては、相続開始前10年以内の特別受益(生前贈与等)が対象となる。(この規定は、令和元年4月から適用されている。)また、1年以内に相続人以外の者が取得する遺贈による特別受益も対象となっている。
この規定における遺留分の計算においては、土地等の不動産価額は時価を前提に計算されることになっている。相続税評価額でないことに注意を要したい。また、相続時点による評価ではなく、請求時点の時価により計算することとなるので、相続税の申告額による金額で考えていると大きな違いが出ることに注意したい。
さらに、不動産の時価は、鑑定評価による時価であり、税務評価における貸家、貸家建付地等の評価減は認められないし、小規模宅地等の評価減も認められないこととなっているので、遺留分の時価は、別物であることに留意をしたい。
私の事務所でも最近遺留分の評価を依頼されることが多くなってきているが、その時価について、鑑定評価と税務評価では、評価の考え方が異なることを説明して評価することとしている。