活動報告

コラム~第48回「規模格差と調整区域の宅地」

2024.8.19

平成29年から評価通達において「広大地の評価」が廃止され、評価通達20-2「地積規模な大きな宅地の評価」(以下「規模格差通達」という)が創設された。その評価通達の根拠は、国税庁に対する日本不動産研究所の調査報告書(平成29年3月31日付)があり、その算式、補正率について詳しく調査研究し報告されているので、機会があれば、情報開示できるので、一度研究してみることをお勧めする。

その規模格差通達は、従来の「広大地の評価」通達に比較して、簡易で使い勝手が非常に良い通達となった。

しかし、全国画一的な評価とすることにより、一部問題がみられる。

特に、市街化調整区域内の土地についてである。市街化調整区域では、原則、「規模格差通達」が適用できないこととなっているが、開発行為が可能な都市計画法34条の10項、11項に該当すれば「規模格差通達」が適用することができるとなっている。しかし、横浜市等の関東周辺では、その10項、11項の指定区域がない。ただし、14項とか個別に旧既存宅地であれば開発行為ができることとなっているが、「規模格差通達」が適用できないとされている。

市街化調整区域内の規模が大きな土地について、開発行為ができるのに、杓子定規に限定し適用できないとすることは、課税公平性から問題であろう。10項、11項の規定がない地域における広大な土地と「地積規模通達」ができる地域の広大な土地とでは倍半分の価格格差が生じており、大きな問題となっている。その是正においては、鑑定評価しかないのが現状である。


一覧へ戻る