活動報告

コラム~第45回「私道の評価」

2024.7.8

相続税法の評価通達においては、私道の評価は自用地価格(更地価格)の30%となっている。私道というのは、建築基準法の道路で、奥行止まりの位置指定道路か建築基準法42条2項道路が多い。不動産市場においては、そのような私道については、建築不可であり、公衆用道路として個人の自由な使用が限定されることから価値は0として取引される。しかし、相続税法の評価通達では、30%評価(平成11年までは60%評価とされていた。)として0にはならない。また、相続税の裁決・判決事例では、使用収益が不可である私道については、所有権としての権利があり、30%評価が妥当であるとの判断がされている。当然、鑑定評価では、私道については価値を0と評価するので、税務評価と鑑定評価とは課税目的が異なることから、その評価においてはダブルスタンダードとなっているのが現状である。

ただし、評価通達は相続税の財産評価における評価であり、通常私道付宅地を売買する場合における私道の価格については、評価通達のみなし時価とは異なり、鑑定評価の通常の時価が採用されるべきであろう。今まで、相続税法以外の私道の売買において、相続税法のみなし時価が採用された例はない。

したがって、法人税法、所得税法、消費税法、固定資産税における私道の評価においては、通常の鑑定評価の適正時価となる。

実務上、私道の評価については、注意をしたいものだ。


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