活動報告

コラム~第36回「税務評価と鑑定評価」

2024.2.28

 

土地の評価をする場合、相続税法では、評価通達があり、土地の評価は、その評価通達の算定方式で計算した価額は、土地の時価としてみなされている。

「みなす時価」とは、通常の時価とは異なり、評価通達における時価概念であり、必ずしも土地の時価とはいえないことから「みなし時価」といわれている。

例えば、路線価は、地価公示価格の80%を時価とみなしている。いわゆる、評価の安全性が考慮されていることになる。

また、評価通達では、土地の貸家建付地減価、建物の貸家については、借家権の減価が認められているが、鑑定評価の不動産鑑定評価基準では、その減価はしない。

また、不動産鑑定評価基準は法定化されており、鑑定評価を不動産鑑定士が行う場合には、その評価基準に則らなければならない法令順守義務ある。その義務違反となると、不当鑑定として処罰されることとなっている。

このように、鑑定評価と評価通達とでは、土地の時価概念が異なることに注意をしたい。税務申告で求められた「みなし時価」は、遺産分割における土地の時価とは異なるのである。筆者においては、最近、遺留分の時価算定において問題となった事案があったので、遺産分割、遺留分侵害額、離婚の財産分与等では、評価通達の時価は使われないことに留意すべきである。


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