活動報告

コラム~第29回「固定資産税における建物の評価」

2023.5.16

建物を新築した場合、固定資産税評価における建物の評価は取得費の40%から50%の水準となっている。そうすると建物の時価とのバランスが崩れ、昨年の最高裁判決のような相続財産の時価問題が生じることとなる。

新築された建物の固定資産税評価は、先ず、新築時の建物の不動産取得税を課税するために都道府県の固定資産税担当官が評価することとなっている。その後、その建物の評価調書を固定資産税の課税のために市区町村へ送られることとなっている。固定資産税の課税は、新築後の翌年1月1日の課税のために評価することとなっているが、価格時点が新築時の翌年となるため経年減価を行って評価することとなっている。すなわち、固定資産税評価は、新築時の価格を評価しているのではなく、新築後1年経過した価格で評価していることとなっており、その価格は、新築時の価格ではない。また、その減価率は、建物の用途別で決まっており、何とマンションでは20%減価することとなっている。したがって、固定資産税の建物価格は、新築時の取得費の40%から50%となっているのである。このことを留意して建物の時価を考えることとなるが、相続税における建物の時価を固定資産税評価とすることは、時価との乖離が大きく、大きな問題となる。したがって、この評価制度にメスを入れなければ、昨年の最高裁判決のように、税法の適正時価の考え方が混乱を生じることとなる。


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