活動報告

コラム~第28回「鑑定評価の内報」

2023.4.10

鑑定評価を行う場合、よく依頼者から鑑定評価額の内報を要望される場合がある。そこで、依頼者から「もう少し価格を安くしてくれませんか」と依頼があり、その依頼に従って安く評価額を下げた場合、税務上問題される場合がある。依頼者の要望により評価額を下げた場合、不動産の時価よりも安く取引したとして、時価との差額について、低額譲渡と判定され、最悪、寄付金又は受贈益として課税される場合がある。しかし、低額譲渡になるかどうかの判定は現実的に難しい。基本は、不動産の時価は一つではなく、その時価にはゾーンの概念となっている。そのゾーンの範囲内の取引価格は、低額譲渡に当たらないと判断される。この低額譲渡について、税務署が仮装隠ぺいであるとして重加算税を課税した事例がある。平成14年3月26日広島地裁判決、平成15年6月13日広島高裁の判決事例である。その判決においては、依頼者により評価額を安くして評価(10%程度)し、取引したのが仮装隠ぺいに当たらないとして重加算税が取り消された事例である。鑑定評価において依頼者の要望を反映して安易に評価額を変更することは問題があるが、その時価の範囲内での検討は必ずしも問題とはならない。鑑定評価については、評価について不動産鑑定士の判断であり、各不動産鑑定士の価格は異なることが通常である。各不動産鑑定士の価格が同一となることについては談合等として問題となるであろう。


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