活動報告

コラム~第20回「アメリカ不動産の評価」

2023.1.6

最近、国税局の国際調査部門において個人が保有する海外不動産における建物の減価償却費の適否について調査を始めたようである。5年ほど調査データを収集して、英語等の外国語がわかる人員を育成し調査を行っている。特に、アメリカの不動産についての調査を重点的に調査対象としているようだ。その理由としては、令和3年分の個人の所得税確定申告から海外中古不動産の加速度償却の規制(海外不動産の不動産所得における加速度償却の赤字について損益通算の対象外とする)を行なわれていることも関連する。

アメリカの不動産については、土地建物の固定資産税課税における日本と同じような評価額があり、国税局では、その価格をベースに、中古不動産を購入した場合における土地建物の区分を査定し、その価格以外のものについては、否認する方針のようだ。

アメリカの不動産における固定資産税評価額については、アメリカのレインズのようなシステムがあり、仲介業者であればだれでも閲覧できるようになっており、その価格を収集して調査しているようである。

しかし、そのアメリカの固定資産税評価については、売買時に売買価格をもとに再評価されることとなっており、売買時の査定前の価格については、前の売買時の価格が継続しており、日本のように頻繁に価格改定をしていないことから、売買時の価格をベースに土地建物を区分することには時価を反映していない。また、その査定においては、各州での独自の査定システムがあり、評価が統一されておらず、不動産の適正時価とは異なる価格である。したがって、その固定資産税評価額をもって不動産の価格を区分することは、必ずしも適正価格とはいえない問題があるので注意をしたい。


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