コラム~第18回「不動産の小口化商品」
2022.12.5
最高裁の6項判決(マンション投資の時価)について問題された相続税評価額と時価の開差については、土地は4倍、建物は5倍となっていた。そこで不動産業者が販売している不動産小口化商品(一棟商業ビル、商業ビルの区分所有権を1口1000万円で販売している不動産投資商品)について調査したら、相続税評価額と販売価格の格差は、土地が8倍前後、建物は10倍前後となっている。その主要な不動産業者に聞いてみたら、今まで否認された事例はないとのことだった。この不動産小口商品ほど相続税の節税商品であろう。事実、堂々と節税商品として、相当な割安となる相続税評価額を宣伝している。この不動産小口化商品について規制しないで、国税庁は、借金をして購入した案件を時価で否認することは、課税の公平であろうか。問題は、相続税評価通達のマンション等の評価基準が妥当性を欠き、評価を改正すべきものと考える。特に、建物の評価に当たり、固定資産税評価額を前提にすること、評価通達では、借家権、貸家建付地は鑑定評価においては考慮しないのに、評価通達では借家権、貸家建付地を考慮するなど、実態に即位していない評価基準を改めるべきである。