コラム~第46回「調整区域の宅地の評価」
2024.7.24
調整区域の宅地の評価については、鑑定評価と税務評価とは大きく異なることとなっている。
税務評価では、調整区域内の土地については、宅地とそれ以外の土地とに区分され、宅地については、固定資産税倍率により評価される。一方、宅地以外の土地については、既存宅地かどうか、再建築不可かどうか、建築制限はどうか等のポイントがあり、評価は、宅地価格を前提に100%、70%評価、50%評価と大きく3区分に分けて評価されている。
鑑定評価では、宅地とそれ以外の土地とに区分しておらず、市場価値として、宅地可能性を検討し、広大な土地であれば、開発素地として評価することとなるであろう。
特に、調整区域内の土地については、建築可能な土地かどうかがポイントとなり、建築不可の土地は、駐車場、資材置き場等の土地利用しか考えられず、周辺の宅地水準の10%~30%程度の評価となり、税務評価の減価率は過大であり、その税務評価の価格では売却が不可能な土地が多くみられるので、税務評価に問題があるといえる。
また、違反農地として駐車場、資材置き場等に利用されている土地については、税務評価では、宅地価格の50%で評価されることとなるが、調整区域の謄本地目が農地となっている土地については、農地法違反となり、農地として原状回復義務があり、宅地価格の50%の評価は、相当過大評価となっている。
そのような土地については、鑑定評価が必要となる。