コラム~第26回「がけ地補正と宅地造成費の控除」
2023.3.13
最近、税務署評価担当者から市街地農地(畑)の評価において、がけ地補正と宅地造成費控除ができないとの指摘があった。確かに、評価通達の解説に「がけ地補正と宅地造成費の控除は判断基準を異にしていることから重複適用ができない」となっている。評価通達における「がけ地」とは、「がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地」をいうとされ、「通常の用途」すなわち宅地として建物が建てられない部分の減価を定めている。その部分は宅地として使用できないが、建築基準法の建蔽率、容積率の対象となり、さらに、採光、通風等宅地として環境上貢献している効用も認めてがけ地補正率が規定されているとなっている。しかし、その補正率は、0.96~0.53の範囲となっており、建築不可の減価であり、宅地化にする宅地造成費は考慮していない。したがって、宅地としての評価においては宅地造成費は控除できないこととなるが、市街地農地の評価においては、できることとなるのであろう。市街地農地の評価は、まず宅地比準方式(がけ地等の減価を含む)で宅地としての価格を計算し、その後、市街地農地として評価することとなっていることから、市街地農地の評価として、宅地造成費が控除でできることとなる。このことを説明したら認められた。鑑定評価では、がけ地があれば、宅地化にする費用を考慮して評価することとなるが、評価通達の評価では、二段階方式になっていることに注意をしたい。