活動報告

コラム~第84回「土地評価の裁決事例(借地権)」

2026.3.5

令和3年5月11日の裁決によると納税者は相続税申告において借地権(貸家)の評価を評価通達により約7300万円として申告したが、その後、その借地権を1年後に約5500万円で売却したことにより売却価額で更正の請求を行った。しかし、その更正の請求は棄却された。

納税者の主張は、以下のとおり主張し、評価通達で評価することが困難な特別の事情があるとした。

①路地状敷地であることから、その減価を評価通達では反映できていない。

②建物が古く、将来建替承諾料や地代増額請求が発生可能性あるが、その事由を評価通達では考慮されていない。

③売却価額が適正時価といえる。

審判所では、①については、評価通達では不整形補正として適切に反映している、②については、一定の地域ごとに適用可能な借地権割合を定めた上にその借地権割合を用いて借地権価額を算定しているために、そのような事情は評価に考慮されている、③売買価額が評価通達の価額を下回っているのみでは、通達評価額が時価を超えているものとはできない、との判断であった。

ここでの対応は、まず、③であるように、売買価額で時価を主張するのであれば、鑑定評価額を取って、適正時価を補足すべきであった。

①については、評価通達の方式があり、その評価方法の不備を突くのは難しい。②の借地権の個別事情を反映していないとの主張は、評価通達のおける借地権割合は、地域の標準的な借地条件を採用して評価しており、その個別的要因を主張するには、鑑定評価をもって主張することしかない。

やはり、鑑定評価を行い、売買価額は参考価格として考え、評価通達方式による評価方法が時価を反映していない「特別な事情」があることを具体的に立証する必要がある。


一覧へ戻る