コラム~第60回「宅地造成費」
2025.2.13
宅地造成費を考える場合、鑑定評価と税務評価では基本概念が異なる。
鑑定評価では、宅地として土地を造成するための造成費をいうことから、従前の農地、山林、原野、雑種地等から建物建築するための宅地に造成する費用として、整地費、開発道路、上下水道施設等の工事を考慮することとなる。一方、税務評価では、凹凸している土地を道路と等高に平坦する造成費用(宅地化を前提とはしない)として、整地費、伐採伐根費、盛り土、切土費用、土留費等に限定されている。したがって、鑑定評価と税務評価とでは、鑑定評価で考える宅地造成費か税務評価で考える単なる造成費用かによって造成費の計算が異なっている。
税務評価で問題となることは、駐車場用地である。税務評価では、アスファルト舗装している土地は、平坦化されていることから整地費は控除できないとされている。また、砂利引き駐車場は、整地されているが、造成費として整地費が控除できることとされている。したがって、税務評価については、駐車場用地の場合、アスファルト舗装されているか砂利引きされているかで整地費を控除できるか判定されている。
しかし、アスファルト舗装されていれば整地費を控除できないかとの判定には疑問を生じる。あくまでも宅地造成費を考えるものであり、宅地化するには、アスファルト舗装は無用であり、平坦な宅地素地として造成する必要があり、整地費を控除すべきである。
ちなみに、鑑定評価については、規模大となる土地、いわゆる戸建分譲予定地の宅地造成費は造成費、開発道路、上下水道施設等を考慮することとなり、100㎡前後の小規模な土地については、アスファルト舗装の有無によって評価は異なることはないのが実情である。