活動報告

コラム~第58回「配偶者居住権」

2025.1.20

コラム第58回

テーマ:「配偶者居住権」

平成30年の民法の改正により、令和2年4月から配偶者居住権について運用されている。

税務の評価については、財産評価通達ではなく、相続税法23条の2において配偶者居住権の評価が相続税法で特別に規定されている。

そこでは、基本は土地建物の時価で評価することとなっているが、実務的には、その土地建物の評価は、簡便的に、財産評価通達で行うこととなっている。

すなわち、土地は路線価で建物は固定資産税評価額で評価することとなっている。

これは、あくまでも相続税法の考え方であり、鑑定実務上は利用できないこととなる。

すなわち、鑑定評価における不動産の評価は、鑑定評価の時価となる。

その鑑定評価の時価については、その居住用不動産を第三者に賃貸することを想定し、収益還元法により評価することとなる。

その手法については、社団法人日本不動産鑑定士連合会の「配偶者居住権等の鑑定評価に関する研究報告」を参考により、評価することとなる。

したがって、鑑定評価における配偶者居住権の評価と相続税法の配偶者居住権の評価は異なることとなるので、

特に、遺産分割における不動産の時価が問題となる場合は要注意すべきである。

現在においては、家庭裁判所において配偶者居住権の評価は稀であり、実務的に鑑定評価の時価について問題となって例は聞いていない。

そこで、不動産鑑定士がその配偶者居住権の鑑定依頼があれば、基本的に連合会の評価手法をもって評価するか、簡便的に相続税法の算式によって評価するが、

その算定過程で、土地建物の不動産の時価を鑑定評価して、評価の手法は相続税法に準拠して評価することとなろう。

 


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