活動報告

コラム~第52回「相当地代と借地借家法」

2024.10.21

実務上、鑑定評価で相当地代を支払っている場合の土地の評価が問題となる。

相当地代は相続税、法人税等の税務評価で認められるものでありる、鑑定評価では、その適用はない概念であり、税務評価独特の考え方である。

日本不動産鑑定士協会連合会の賃料研修によれば、相当地代の収受している土地の場合、当事者間の恩恵的、恣意的な地代であり借地借家法の適用はないものと考えられている。また、裁判における判決においても、相当地代等の恩恵的な土地賃貸借は、当事者間では有効であるが、第三者には有効とはいえず、地代の収受があれば、借地借家法が適用があり、法律上、鑑定評価における借地権が発生するものと判断されている。

したがって、税務評価における相当地代については、税務上では、認められるが第三者間では認められないことに留意を有することになる。併せて、税務評価における無償返還届出を提出し、地代が収受されていれば、20%の借地権が認められることとなっているが、鑑定評価では認められないことも注意を要する。

なお、個人対個人、個人対法人において、権利金の収受がなく、無償返還届出を提出していない場合で相当地代や普通地代を支払っていれば、鑑定評価においては、借地借家法の適用があり、その土地については、通常の借地権があるものとして評価することになることに注意を要したい。また、税務評価においても、裁決判決では、土地賃貸借を契約し、無償返還届出を提出していない場合には、通常の借地権の認定があることに留意を要する。

土地賃貸借については、税務評価と鑑定評価に判断が異なることに注意したい。


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